夜鳥通信

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さらば安倍晋三:75年前の失敗のツケを我々の手で精算しなければ

日刊ゲンダイ白井聡氏筆を転載


さらば安倍晋三:75年前の失敗のツケを我々の手で清算しなければ

白井聡  | 京都精華大学人文学部専任講師(政治学・社会思想)

2/29(土) 


 どんな鈍い頭の持ち主にも、いまや点と線がつながったことがわかるだろう。安倍政権の本質は、「私物化」である。私物化はモリカケ「桜」問題だけのキーワードではない。モリカケ「桜」問題それ自体はつまらない事件だ。だが、それはこの本質が氷山の一角としてこの上なく明瞭に可視化された案件なのだ。より重大な、アベノミクス(GDPの改竄を含む)、北方領土問題、対米従属問題(沖縄米軍基地問題トランプ大統領への媚態等々)、朝鮮半島危機への対応など、すべてはこの一語で説明できる。ここにあるのは、世襲によって譲り受けた権力を手段を選ばず維持するという原理だ。


 私物化は未来の日本人にも及ぶ。ピント外れの大学入試改革は、自らの学力と学歴に対する安倍の劣等感によって後押しされてきた。結果、入試制度そのものが、ベネッセを代表とする教育業界の政商の食い物にされ、台無しにされようとしている。


 総仕上げは検察の私物化であり、国家権力の究極的私物化だ。ここまでくれば明らかだ。安倍が私物化しているのは、権力や利権の一部分ではない。国家そのもの、つまり国土と国民を好きなように処分できる私物として取り扱っている。ゆえに、新型コロナウイルス問題への悲惨な対応も全く驚くべきものではない。国民の生命や健康を守ることになど、そもそも何の関心もないのである。


 国民の課題ははっきりしている。安倍を退陣させるだけでは不十分であり、しかるべき場所(牢獄)へと送り込まなければならない。そしてこの間この腐りきった権力を支えてきた政官法財学メディアの面々をリストアップし、処断せねばならない。75年前の失敗の根源は、国を破滅させた者どもを日本人が自らの手で罰しなかったことにある。その中に、あの「僕のおじいちゃん」(岸信介)もいた。そのツケをいまわれわれの手で清算しなければならないのである。


※本稿は、2月27日に「日刊ゲンダイ」に掲載された記事に加筆したものです。