押出しのあるおっさんとなった赤井もいいが、
若い時のあんちゃん振りが絵になる。
実に日本的な男前だ。
無精髭をたくわえた面構えに、
先日亡くなった大学の先輩を思い出した。
役者としての赤井を知ったのは阪本順治の「王手」が初めてだった。九段下に設営された仮設テントの映画小屋。当時、会社を抜けて観に行った。
赤井の印象として、映画「王手」主人公の豪快なキャラクターがあったが、その後観たデビュー作「どついたるねん」での身に纏う繊細な雰囲気が意外だった。
あの頃は、画面に映る通天閣や西成の風情、関西弁のやりとりを眺めては、大阪、西に対する憧憬を覚えた。東京にないダイナミズム、プリミティブな率直さが心地良かった。
今回のドキュメンタリーを見終えて、
思い切り洒脱な映画で主役張ってるのを観たくなった。
ビリー・ワイルダーか川島雄三か増村保造か市川崑か、いや、溝口健二か。
市川崑監督で原尞の探偵ものの主人公とか。
能役者とか。
「残菊物語」とか演ってるのを観たい。