アップリンク吉祥寺
「朝鮮人なら殺していいのか」
この言葉に尽きると思う。
「この人たちは日本人かもしれないじゃないか」と自警団を説き伏せ暴挙を静止し、行商団、自分を助けようとする村長を制して行商の団長が自警団や村長に放つ言葉。
在郷軍人会の長谷川が殺害したのが朝鮮人でなく日本人とわかり愕然とするところを
その夫人が抱きしめ慰めるシーンがある。
ここに一番違和感を感じる。
内務省、国の指示だから行った、
だからしょうがない。
軍隊にも行った、戦争にも行った、
国に忠実に頑張ってきた、
国の言うことを信奉してきた。
だからこんなことまでしでかした。
あなたが国の方針を尊重して
頑張ってきたのはわかっているから。
こんなことも起こしてしまった
そんなあなたはしょうがない。
とでも思って
妻は夫を許してあげているのか。
では、長谷川は自らを責める必要は無いのか？
免罪されるのか？
殺人は殺人だろう。
こういう狭い同情、慮りが気持ち悪い。
これまで世間で言われてきたアイヒマンと
同じ論理に見える。
福田村の場合反対する人はいたが
結局は村の意思として殺人になった訳で。
政府の曖昧な文言を殺人まで範囲として行動した訳で。
これは権威ある他者の指示による拒否できなかった行為として放免されることになるのか？
本人は自身の判断を凍結して
権威者の指示に従ったということでも
自身に責任はあるのではないか？
先日読んだ「アイヒマンと日本人 山崎雅弘」を思い出す。
では本当に朝鮮人だったら何とする？
何も思わない？
何も感じなかった？
何かを思うことは求められない？
罪にもならなかったのだろうか？
日本人を殺したから、
この事件は隠蔽、注目もされるのでは。
あってはならなかったことをしたから注目されてるのか。
沖縄戦時の日本軍の住民自決幇助にも似て見える。
関東大震災では、日本人が
朝鮮人などの外国人や反体制の人々(外国人、邦人含む)を殺害した。。
朝鮮人や反体制派の日本人を殺したのは何度も取り上げられて当たり前であり常識である。
今回は反体制派でもない日本人が殺されたことだから珍しいのだ。
そうでない朝鮮人や日本人を殺したのは
よく取り上げられて当たり前だから、
今さら殊更特別視する必要はない。
だから、特別に朝鮮人犠牲者向けの追悼文は出さない。
出す必要はないと小池東京都知事は
思っているのかなどと
一周まわったような理由を考えてしまった。
先日、松野官房長官、いわゆる岸田政権は
だから認めないと言い出した。
高校の頃、日本史の講義では(日本史は必修だった)日本の官憲、甘粕正彦が大杉栄、伊藤野枝、一緒にいた子供を殺害したとはっきり習った。朝鮮人虐殺には正力松太郎の関与もあったとはっきり出てきて、定期テストでの出題もあった。
ならば、日本人を殺したことは認めるのか？
「朝鮮人のことは覚えておかなくていい」ということか？
安倍晋三も酷かったが岸田文雄も勝るとも劣らずの歴史修正主義者であり人種差別者、マイノリティへの差別者だ。
関東大震災の混乱の流言飛語により朝鮮人などの外国人や反体制派の日本人そして、反体制でもない日本人も殺される悲劇がありました。その原因として当時の政府の関与、当時の日本人の植民地人に対する偏見、畏怖、差別感情が有ります。
福田村事件の裁判では裁判所はどのようにこの事件を判じたのか？
殺害者の殺人動機の根源は何としたのだろう？
その形成に関して国の責任は言及しているのか？
この事件後の殺人者、殺人関与者の意識の変遷、恩赦後はどのように生きたのか？
生き残った行商者が事件について口をつぐんだ理由は？
そこに彼らの出自、被差別部落民であることは影響しているのか？
が知りたくなってしまった。
