夜鳥通信

会社員、絵描き、占い師、模型師のブログ

空の色ににている

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内田喜美

久しぶりに読んだ。

奥付けを見たら1981年の発行。

もう30年前か。

読み直して感じたのは

よくこんな物語を中学の時に

読んでたなと。

自分の宝物の一冊だ。

古本には絶対に出さない。

自分の精神形成に

大きな影響をあたえている本だ。

繊細な絵はいま見ても美しい。

人物の造形が細過ぎて違和感を感じてもいたが、今見直すと少女漫画では実際の人間に近いほうだった。

表情、とくに目の描写と演出にあらためて気付いて新鮮。

物語の間をつなぐ自然描写。

主人公の住む日本家屋。

舞台となる地方都市のありよう。

登場人物の会話は硬さは

ありながらも主人公たちの心情を

細やかにあらわす。

心情描写のモノローグ表現が麗しい。

よっぽど優秀な編集者がついたのか、

作者の素養かは不明だが、

陳腐な言い方だが、文学的なとはこういうことを言うのかな。

エリック・ロメールを思い出す。

この頃の少女漫画は凄かった。

絵もストーリーも。

毎月ぶーけを買うのが楽しみでならなかった。

作者は「星の時計のリデル」を最後に漫画界からは身をひいてしまった。

自分が書きたかったものを書けたからと。

今では全て絶版。

以前は全部持ってたが。

また読み直したいものだ。

「かすみ草に揺れる汽車」

どっかにないかなあ。